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いぼ痔

痛みが少ない「いぼ痔(内痔核)」・痛みがある「いぼ痔(外痔核)」

肛門の皮膚と直腸の粘膜との境界線を、「歯状線」と呼びます。ちょうど、肛門の中間付近の位置にあたります。この歯状線の内側すなわち直腸寄りにできる痔核(いぼ痔)が「内痔核」、外側にできる痔核が「外痔核」です。
外痔核には強い痛みを伴う場合があるのに対し、内痔核は痛みが比較的少ないという違いはありますが、いずれも適切な治療が必要です。人に相談しにくい疾患でもあり、長期間にわたって一人で悩んでいる方もいらっしゃいますが、快適な生活と健康維持のためにも、できるだけ早めに当院にご相談ください。

いぼ痔(内痔核)

歯状線の内側にある直腸粘膜に生じるいぼ痔を指します。
下痢や便秘によって粘膜に負担がかかり続けると血流が滞り、静脈叢がうっ血して発生します。

いぼ痔(外痔核)

歯状線の外側で肛門の皮膚に生じるいぼ痔を指します。
内痔核と同じように、下痢や便秘が続いて静脈叢がうっ血して発生します。

いぼ痔の原因

いぼ痔の原因として考えられているのは、主に慢性的な下痢や便秘です。肛門の皮膚や直腸の粘膜に負荷がかかり続けると、静脈叢がうっ血して痔核ができるとされています。
他には、アルコール類の飲み過ぎ、食物繊維の摂取不足、座ったままでいる時間が長い生活習慣、さらには姿勢の悪さや肉体労働、妊娠などに起因する腹圧の上昇も、いぼ痔の原因として考えられる要素です。
治療をしてもいぼ痔が再発する場合や、下痢または便秘が極端にひどい場合には、クローン病などの大腸疾患が隠れている可能性もあります。

いぼ痔の初期症状・主な症状

外痔核

歯状線の外側で肛門の皮膚に生じるいぼ痔です。
外痔核は、次の3つに大別されます。

  病態・症状
皮垂 肛門の皮膚にしわが寄った状態を指します。
通常、皮垂に痛みはありません。
血栓性外痔核 肛門付近の静脈壁が崩れ、血栓が形成されたものを指します。
多くは腫れと痛みが生じますが、程度は人それぞれです。
中間痔核[1]/肛門管内外痔核 内痔核から歯状線を越えて肛門側まで広がったもので、内痔核と外痔核とが同時に生じた状態を指します。

内痔核

歯状線の内側で直腸の粘膜に発生し、外痔核よりは痛みが出にくいいぼ痔です。
脱出度に応じて、次の5段階に分類されます。

  病態・症状
内痔核1度 歯状線の内側にできた痔核が歯状線よりも外側に出ていない段階です。
時折、痛みや出血があります。
内痔核2度 排便時のいきみなどが原因で、一時的に歯状線よりも外側まで痔核が脱出した状態です(脱肛)。
何もしなくても元の位置に戻ります。時折、痛みや出血があります。
内痔核3度 排便時のいきみなどが原因で、痔核が歯状線よりも外側に脱出した状態です。何もしなければ元に戻りませんが、手を使えば戻せます。時折、痛みや出血があります。
内痔核4度 痔核が歯状線よりも外側に出たままになる状態です。
痛みや出血の程度は人それぞれです。
嵌頓痔核 痔核が急激に悪化した状態です。
強い痛みを伴い、肛門周囲の腫れもひどくなります。

いぼ痔の治し方(お薬)・手術

外用薬と内服薬

出血、痛み、腫れを改善するための薬物療法として、外用薬や内服薬を使います。
ほとんどの症状はお薬で軽減されますが、痔核が消えることはありません。生活習慣や排便習慣を見直して、再び症状が出るのを防ぎます。

ジオン注射(ALTA療法)

「ジオン」というお薬を痔核に注射し、痔核の血流を減らして硬化させる治療法です。1週間から1ヶ月程度で痔核が退縮し、元の位置に固定します。
「内痔核を切除しない治療法」として関心を集めていますが、再発の可能性があり、ジオン注射を試した後に結紮切除術に至る例も少なからず見られます。
なお、ジオン注射が治療が適用されるのは、内痔核のみです。

ジオン注射について

ジオン注射+結紮切除術

内痔核と外痔核の両方が生じている人に対する治療法です。
内痔核をジオン注射で縮小させ、外痔核だけ縛って切除します。2種類の治療法の利点を組みあわせた手法で、入院せずに日帰りで治療を受けることができます。

手術

結紮切除術

伝統的な手術であり、痔核の種類を問わず使えます。
痔核の栄養血管を縛り、痔核を切除します。

ゴム輪結紮術

輪ゴムを使って痔核を縛り、血流を遮断して壊死させることで痔核を取り除きます。
痛みが少なく手軽だという利点がある反面、術後の出血に十分な注意が必要です。

PPH法

直腸の粘膜と血管を内痔核の上方で環状に切除および縫合し、痔核を退縮させる手技です。
肛門周囲にある痛みを感じる部分の皮膚を切らないため、術後に痛みが生じることも少ない利点があります。

いぼ痔は自然治癒するの?

外痔核と内痔核のどちらも自然に治ることはありません。
ただし、ほとんどの場合に、薬物療法で症状を抑えることは可能です。痔核を小さくしたり、なくしたりするには、ジオン注や手術が必要です。